自家採種の基本と成功させる4つの条件を解説!品種をつくる醍醐味も

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自家採種の目的は何か?どうやってやるのかわからないし技術的にも難しそうですよね?

自家採種の目的は種子を自給することで持続可能な農業をおこなうこと、そして優秀な種子を未来に残すことです。

この記事を見ると自家採種は野菜を栽培する工程のひとつであり菜園家にとっては奥深い楽しみであることがわかりますよ。

さらに自家採種を成功させる方法と4つのメリットを紹介しますね。

自家採種とは農作物が実らせた種子を採って保管すること

squirrel-acorn[今年に実った種子を使って翌年の農作物を生産する。森ではリスもやっています。]

結論から言うと自家採種とは農作物から種子を採取して保管するということです。

その種子は翌年に播種します。

そして新たな農作物を生産して新鮮でおいしい食料にするのですよ。

農作物は子孫を残すために種子をつくります。

それは生物が子孫を繁栄させるという自然な営みですよね。

わたしたちがおこなうことは農作物の実りから種を取り出して保管するという作業でありそれを自家採種と言うのです。

わたしは有機JAS有機農産物生産行程管理の資格を持っており自家採種した有機種子を使用して有機農産物の栽培をおこなっております。

自家採種の基本である4つの工程

put-the-seeds-in-a-container[菜園家の個性は種子に宿ります]

自家採種は農作物を生産するプロセスの1つです。

それは実った農作物のいくつかを食べることなく翌年の栽培に使う種子にすると言うことなのですよ。

自家採種における4つの工程を解説しますね。

  1. 農作物から種子を採取する
  2. 種子を乾燥させる
  3. 種子を容器に収納する
  4. 種子を保管する

種子を生きている状態のまま保存して翌年その種子を農地に播(ま)くことで食料となる農作物を生産するのです。

自家採種をおこなうことでそのような持続可能な農業は実現するのですよ。

種子を保存するポイントは十分な乾燥と光の遮断、そして低温を維持することです。

農作物から種子を採取する

Seed-eating-bird2[野菜を栽培して収穫する。そして食べる。その経験によって採種は自然に学びます]

野菜は大きく分けて果菜類・葉菜類・根菜類・豆類という4つの区分があります。

それぞれの野菜の種子を採取する方法は栽培を体験することで簡単に理解できますよ。

果菜類(かさいるい)と豆類(まめるい)であれば完熟させた実から種子を取り出しましょう。

葉菜類(ようさいるい)は翌年にトウ立ち(花を咲かせること)によって種子ができます。(大きな気温の変化や陽に当たる時間の変化によってもトウ立ちします)

根菜類(こんさいるい)はジャガイモ・ショウガのように収穫した実が種芋になるタイプの品目とダイコン・ニンジン・ゴボウのように翌年まで農地で育て続けることでトウ立ち(花を咲かせること)して種子ができるタイプの品種があるのですよ。

種子を乾燥させる

seed5[種子の命を保つためにはしっかりと乾燥させることが大切です]

採種した種子は1ヵ月ほどかけてしっかりと乾燥させましょう。

理由は湿気(しっけ)があるほどは種子寿命は縮んでしまうからです。

そして高温と光も種子にダメージを与えてしまうのですよ。

種子の寿命を保ち発芽率を維持するためには陽の当たらない涼しい場所でしっかりと乾燥させることが重要なポイントだと言えるでしょう。

種子を容器に収納する

Organic-Self-seeding3出典 農林水産省|自家採種した種

[種子を生きた状態で保存するには適切な容器が必要です]

種子の寿命を縮めるのは多湿です。

瓶(びん)や缶(かん)のような気密性の高い容器を使用して湿気を防ぎましょう。

密封しても種子は生きているので安心してくださいね。

ジッパーが付いている透明のビニール袋でも空気を抜いてしっかりと密閉(みっぺい)することで保管できます。

少量の種子を保管する場合は品種ごとに紙封筒に入れてから容器に収納することで整理できますよ。

容器に隙間があるようならテープで塞(ふさ)ぐことがポイントです。

種子を保管する

seeds-on-the-shelf[種子の命を保つための条件は乾燥・低温・光の遮断です]

種子寿命を保つには光を遮断して低温状態を維持することが大切です。

そのために冷蔵庫で保管しましょう。

低温保管することで種子の呼吸量を抑(おさ)えることが長期的に生存させる重要なポイントなのですよ。

段階的に温度を下げて冷凍状態にすると種子の呼吸はゼロになり半永久的に保存することが可能です。

もし種子を来年の栽培に使用するのなら冷蔵庫で保存するのが適切です。

そのような短期的な保存であれば乾燥剤も必要ないでしょう。

販売されている種子には乾燥剤は入っていないですが種子寿命の期間内なら発芽率は保たれています。

参照 種子の保存・・・室温・冷蔵・冷凍 – 有機自給園

自家採種を成功させるための4つの条件

Organic-Self-Seeding出典 農林水産省|有機農業における自家採種と育種

[自家採種は有機農業の生産プロセスのひとつ]

自家採種を成功させる4つのポイントを理解することで採種の工程順序も覚えることができます。

あなたに最適な素晴らし種子をたくさん生産してくださいね。

  1. 自家採種できる種子を使用する
  2. 交雑を防ぐためにひとつの品種に限定して栽培しましょう
  3. 優秀な親株を選抜して採種する
  4. 複数の株数から採種する

自家採種できる種子を使用する

Japanese-spinach出典 野口のタネ オンラインショッピング

[日本ほうれん草は代表的な在来種のひとつです]

自家採種が可能な種子の区分は『在来種』『固定種』『エアルーム種』であり、これらの種子は親から特性を受け継ぎ子孫へと継承していきます。

そして誕生から今に至るまで種(しゅ)が繁栄してきた歴史は人々に食料として活用されてきたことを証明しており後世に残していく価値があるのです。

『交配種F1』と『GMO種子』(遺伝子組み換え種子)は自家採種することはできません。

厳密に言うと『交配種F1』でも自家採種することは可能です。

受粉して種子をつくることもできるのですが一代雑種であるため農産物としての特性を子孫に継承することはできません。

そのため親F1から子F2という種子を採取して栽培しても求めているような農産物には育たないのです。

種(しゅ)の保存という目的は達成できないため自家採種はおこなわれないのです。

『GMO種子』(遺伝子組み換え種子)は日本においては栽培を認められていないため自家採種はできません。

交雑を防ぐためにひとつの品種に限定して栽培しましょう

sprout[自家採種するなら栽培は1品種だけ。その理由は交雑を防ぐためです]

交雑とは生物分類上の種(しゅ)が混じり合うことです。

同じ農作物同士が受粉して種子をつくるので意図せず別の特性を持つ新たな品種を生産してしまう可能性があるのですよ。

交雑を未然に防ぎ自家採種を成功させるためには1つの農産物(1品目)に対して1品種だけを栽培するようにしましょう。

交雑についての解説

植物の受粉には自殖性(じしょくせい)と他植生(たしょくせい)という2つのタイプがあります。

  • 自殖性は自分の花粉で受粉します(自家受粉)
  • 他植生は他の植物の花粉で受粉します(他家受粉)

自植生は自分の花粉で受粉するので他の品種と交雑して別の品種が誕生することはありません。

他植生の場合は同じ科に分類される仲間同士の野菜によって受粉するので交雑します。

それによって意に反した野菜ができる可能性があるのですよ。

たとえばピーマンと唐辛子を隣接して栽培すると辛いピーマンが誕生するのです。

他植生であってもトマトのように交雑しづらい農産物は他の品種との距離を3m確保することで生物分類上の種(しゅ)が混じり合うことを防ぐこともできますよ。

優秀な親株を選抜して採種する

Radish出典 農林水産省|有機農業における自家採種と育種

[選抜した農産物の種子を採種することは自家採種の重要なポイントです]

親株は樹勢が良いものを選抜(せんばつ)します。

枝葉・幹・根の生育が良い親株の種子も丈夫で樹勢が良い株になるのですよ。

農作物の大きさや味も特性として種子に受け継がれるので優秀な個体を見極めて採種しましょう。

選抜と自家採種を繰り返すことであなたにとって最適な農産物へと変化していくことになるのです。

複数の株数から種子を採取する

Organic-Self-Seeding4出典 農林水産省|有機農業における自家採種と育種

[選抜した優秀な野菜それぞれから採種します]

複数の株数から自家採種することで優秀な種子を採取する可能性を高めます。

自殖性の場合は1株から10株までを目安に採種しましょう。

他植生の場合は30株から50株までを目安に採種します。

採種した種子は翌年に均等に播種しましょうね。

そして栽培状況を観察しながら樹勢が良い株を選別しましょう。

実った農産物の大きさや形、そして味を確認して採種をおこなうのです。

これらのことを意識して自家採種を繰り返すことであなたの生産する種子は優秀な品種へと進化していくことになるでしょう。

自家採種の目的は3つある

wheat[自家採種は希少な有機種子を増やす最も有効な手段です]

有機農業の品質と普及率を高めるためには根幹である有機種子を生産する必要があります。

特に日本野菜の有機種子は販売されている品種が少ないですよね。

有機農業経営者も家庭でオーガニック菜園をおこなう人も自家採種を行うことで有機種子を自給することができますよ。

自家採種は自分で新たな固定種をつくるという醍醐味もありますが環境を改善する手段のひとつでもあるのです。

種子を自給することにより持続可能な農業を実現させる

seed-eating-bird[自家採種は有機農業の根幹である有機種子を増やす有効な手段です]

自家採種をすることであなたは持続的に種子を生産することができます。

種子を生産できるということは自分だけで食料を自給することができるということですよ。

農業を成功させる秘訣はできる限り費用をかけないことです。

有機農業は自然に由来するほど生産基準は高いと言えますがそれに比例して資金も必要としないのです。

それが持続可能な農業である証だと言えるでしょう。

もし種子の供給が途絶えたとしても自家採種できるなら、あなたは食料を生産し続けることができるのです。

その対極にあるのが工業型農業(慣行農業)であり農産物を生産するには多くの資金を必要とします。

工業型農業は地球環境を汚染するため長期的に持続していくことは不可能な農業なのです。

有機農業(オーガニック)と農業型農業(慣行農業)それぞれの利点と欠点を解説します。

有機農業と工業型農業(慣行農業)を家庭菜園で行う利点と欠点を解説

優秀な固定種を開発する

organic-self-seeding2[自家採種によってあなたは自分の種子をつくることもできます]

自主採種が可能である種子の区分として『在来種』『固定種』『エアムール種』があります。

その中でも固定種とは自家採種を繰り返していく選抜(せんばつ)と淘汰(とうた)のプロセスの中で農産物の特性が定着し固定した品種のことです。

固定種は種苗会社や個人によって開発された品種ですね。

実は自分にとって最適な固定種をつくることもできるのですよ。

たとえばあなたが自家採種した種子で生産した農作物が自然交雑か突然変異によって、まったく別の品種だと感じるほどおいしい個体が誕生することもあります。

その個体の自家採種を繰り返すことで特性を固定させることができたなら、その品種はあなたがつくった固定種ということになるのですよ。

このような事実に基(もと)づいたエピソードは自家採種の醍醐味だと言えるでしょうね。

有機農業の普及を加速させることでSDGsの目標達成を支援する

SDGs-17GOALS-2出典 国連広報センター(UNIC)

[自家採種は多様な生態系を守ります。それは地球の持続可能性を高めるということです]

自家採種は希少な有機種子を生産する有効な方法であり有機農業(オーガニック)の普及を加速させることになります。

有機農業はSDGsの目標を達成に導くための最も重要な食料生産システムであり各国政府は協調して生産の拡大に取り組んでいますよ。

国際連合食糧農業機関FAOも飢餓を撲滅することができるのは有機農業であると伝えていますね。

そして自家採種は種(しゅ)の保存を推進し多様な生態系を守ります。

それはわたしたち一人ひとりが行動を起こすことができる環境保護活動であり多くの人が参加することで地球の持続可能性を高めることになるでしょう。

 

農作物を生産している人は自家採種をしている

Heart-potato[収穫したハートのジャガイモ]

自家採種は特別なことではなく農作物を生産している人は意識していなくても経験しています。

たとえばジャガイモは種芋でもあるので収穫することは自家採種をしていることにもなります。

収穫が遅れて赤く熟したピーマンを調理する場合は種子を捨てずに乾燥させることで自家採種になります。

トマトも収穫が遅れると完熟して落下します。

農地に転がったまま翌年の春を迎えるとあちらこちらで発芽します。

もうこれは自家採種の工程を通り越していますよね。

自然に育った丈夫なトマト苗は好きな場所に定植しましょう。

ハクサイ・レタス・キャベツは秋に収穫しないでおくと翌年の春には使い切れないほどの種子をわたしたちに提供してくれます。

自家採種は菜園生活を送る人にとっては栽培プロセスのひとつであり農作物が種子を実らせることは日常的なことなのですよ。

Organic-Vegetables[越冬した野菜を春まで栽培し続けると使い切れないほどの種子をわたしたちに提供してくれます]

まとめ

自家採種は菜園家であるあなたの可能性を広げてくれます。

種子を採取する方法は農産物を生産すること自然と習得していくでしょう。

あなたが求める種子は地球が生み出してくれます。

有機種子は少ない!販売されない日本野菜の有機種子を入手する方法では自家採種が有機農業の生産システムにおいても重要な工程のひとつであることも解説しています。

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